Post2013/08/13

学生の持っている良さを表現できるようになって欲しい 「東海大学 石塚 耕一先生」

学生の持っている良さを表現できるようになって欲しい 「東海大学 石塚 耕一先生」

今回は、昨年まで高等学校の校長を務め、今年2013年度より東海大学 国際文化学部 デザイン文化学科にて教授を務めている石塚 耕一先生にインタビューに答えていただきました。


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先生が大学でどのような授業をされているかについてお聞かせください。

私が担当している授業は「デジタル表現」と「デジタル入門ゼミナール」の2つです。例えばデザインというのは、商品をデザインする、チラシやパンフレットをデザインする、建物や空間をデザインするといったことがあります。さらに今日ではイベントやライフスタイルをデザインすると言われる時代になりました。Appleのスティーブ・ジョブズはとてもデザインに拘り、良いデザインの商品を創ろうとしました。「デザインにいくらお金をかけてもいい。 これからの時代にはデザインが必要だ。」と考えたのです。それは今までには無い発想でした。そして彼は、iPhoneやiMacを創りました。その頃の日本の企業は、アジア諸国の製品に対抗するために安いものを作ることを考えていたのとは反対の発想です。今は多少値段が高くてもデザインが良ければ売れる時代であることを彼は察知していたのです。これからの時代、我々の生活を豊かにするうえでデザインは大切だということをデザインの授業を通して教えていきたいと思っています。デザイン文化学科は新設されたばかりで2年目なのでゼミなどはまだありません。

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「デザイン入門ゼミナール」では、この授業を通してデザインの基礎を教えています。身近なものを描くことやデザインすることはもちろんですが、アイデアの発想法などについても学んでもらっています。「デジタル表現」の授業では、パソコンを使って表現することを教えています。PhotoshopやIllustratorなどを使いデザイナーとしての基礎となる技術を教えながら、グラフィックデザインについて考えてもらっています。つまり基本的なスキルの育成です。本学科には、全国から多種多様な学生が集まって来ています。しかし、みんながみんな高校時代に美術部に所属していたり、パソコンについて詳しいわけではありません。この授業で基本的な事を教えながら1人1人の持っている可能性に気づいてもらい、その良さを伸ばしていきたいと考えています。「ボクにはこんな才能が有ったのか!」「これが得意なんだ。」といったことに気づいてもらい、将来大きく羽ばたいて欲しいのです。今教えている学生たちは意欲的でデザインへの興味関心が高いのです。そればかりか、音楽、マンガ、アニメ、YOSAKOIなど多様な分野への可能性も感じています。

先生が授業をしているうえで大切にしていることはなんですか?

日本の教育は”使い方”を教えるものが多いと思います。しかし、それで終わってはいけません。それぞれの持っている良さを表現するために授業をしています。良さを表現するための”道具”としてソフトを使うことを心がけています。ドイツの大学やフランスの専門学校、スウェーデンの高校を見る機会がありましたが、海外の学校で特徴的なのは、教育はソフトの使い方を教えるところではないということです。ソフトはそれぞれの学生が持っている才能を伸ばし具現化すための道具でしかないということです。大切なことは、創造力の育成です。新しい時代を創っていくのは若者ですから、そのための力を身につけて欲しいのです。日本がこれから元気になっていくためにも、文化を創造する力を身につけて欲しいですね。

ものづくりの時代には日本は世界でナンバーワンと呼ばれていました。しかし、パソコンが普及するにしたがい、その地位は揺らいでしまいました。これはクリエイトする部分に力を入れるべきだったのにそれを怠ったからです。日本には他国にはないきめの細かさや独自の文化があります。それをもっと活用すべきだと思います。ものづくりに関しても安く作ればいいという発想では駄目なのです。日本は今、変化する時代、過渡期に差し掛かっていいます。教育でそれを大切にして行きたいですし、そのことを強く私は訴えたいです。

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日本はもっと自分の国の文化を大切にして欲しいと思います。レオナルド・ダ・ヴィンチは遠近法を用いて写実的な絵画を表現させました。しかし、日本からは遠近法が生まれませんでした。代わりに浮世絵が生まれたのです。平面の中でいかにして豊かな世界を描写できるかということです。それが現代のアニメやマンガに繋がっています。そして世界の注目を集めています。日本のアニメやマンガが大好きでそれを日本語で読むために日本語を勉強している海外の方がたくさんいます。これからの日本は日本のデザインの良さを大切にしていって欲しい、もっともっとデザインしていって欲しいのです。例えば、ゆるキャラと呼ばれるでキャラクターがありますが、そのようなものを1人ひとりが持つ時代が来ても面白いと思います。大学であればそれぞれの大学にゆるキャラがあるとか、各学部や学科にあってもいいですね。それは時代とともに進化するなど、個人が名刺に自分のゆるキャラが描かれている、そんな時代が来ると面白いですね。そういう風になっていけば日本はもっともっと元気になるし、世界からもっと注目されると思います。

学科が出来たばかりなので、東海大のデザイン文化学科では、来年からゼミなどの本格的な授業が始まります。そこでは、日本のデザイン力の良さを世界に発信できる、誇りを持てるデザインを創れる人を輩出していきたいですね。 日本らしい、北海道らしい、札幌らしい、東海大学らしい、究極的には自分らしいデザインを発信していって欲しいです。そしてそれを札幌から発信していけば札幌はもっともっと元気になります。今の学生には素晴らしいセンスがあるのですから。

先生の授業外での活動についてお聞かせください。

授業外での活動はこれからやって行きたい事も含めて大きく分けて4つほど有ります。

1つ目は、アイヌデザイン、アイヌアートです。今、北海道が注目されているものにアイヌ文化があります。

政府は白老に国立アイヌ博物館をつくることを決めました。白老にはポロトコタンとアイヌ民族博物館があります。アイヌ文化を日本に、世界に発信していこうと国をあげて動き始めました。その一端を私が担えたらと考えています。できればアイヌアーティストの支援をしていきたいのです。世界に類がないほどに個性的で美しいのがアイヌアートの特徴です。それは自然の中から生まれてきたものであり、そこには様々な意味が込められています。アイヌアーティスト達は、そのデザインを現代風にしながら進化させていっています。それを全国に発信していくお手伝いをさせていただければと思っています。美術展を企画したり、研究を進めて研究論文という形で発表するなどして、支援して行きたいですね。

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2つ目は松前藩の蠣崎波響(かきざき はきょう)が描いた「夷酋列像」(いしゅうれつぞう)の研究です。ここにはアイヌの首長12人が描かれているのですが、幻の名画と呼ばれていたほど密度と迫力のある絵です。1980年代にフランスのブザンソン市で発見され、松前高校に赴任していたときに高校生を連れて観に行きました。なぜフランスにこの絵が有るのか、誰が持っていったのか?というように謎が多く、この絵の研究をしていきたいです。昨年は222年振りに松前城に「夷酋列像」が里帰りしました。

3つ目は自分のアートを発表して行きたいです。メディアアート都市宣言をした札幌の発展に貢献するために映像や作品を発表していきたいです。校長だった時は時間が無くて中々出来ませんでしたが、大学の先生になりましたので、学生と一緒になって札幌の文化の発展に貢献していきたい。

4つ目はビートルズの研究です。私は昔からビートルズが大好きです。大学はアカデミックな場所だからこそ、日本の大学でもビートルズの深い研究ができてもいいのではないかと思っていました。他の国ではビートルズの研究を行なっている大学もあります。ビートルズは音楽や文化に多大な影響を与えました。始めて8トラックのレコーデイングを行ったり、ロックに電子楽器やオーケストラを導入したりしています。音楽の実験室とまで呼ばれ、ポピュラー音楽の歴史を変えてしまいました。作詞・作曲・ボーカルを全て自分たちで行うとともに、自分たちのレコード会社まで持ってしまうと言うのは画期的なことだったのです。音楽スタイル、ファッション、プロモーションビデオなどを含め与えた影響は計り知れません。個人的に研究したいと思っています。

先生の学生時代についてお聞かせください。

私は北海道教育大学の旭川校でデザインを専攻していました。マンガが好きでマンガをたくさん描いていました。ビートルズを聴いて曲作りにもはまっていまいした。大学時代というのは何か一つのことにとことん打ち込む事が大切だと思います。私はデザインを学んでいたのですが、当時はまだ深くは理解していませんでしたが、教育の問題をテーマにしたポスターを制作したりしていました。「詰め込み教育で良いのか?子どもにとって必要なのは心を育てることではないのか?」などといった内容です。本当はポップアートやコンセプチュアルアートのような流行りの芸術を創作したかったのですが、お金が無かったので学生時代は我慢していました。その代わりに好きなことをとことんやっていました。ゼミ室に泊まりこんで作業をしていた学生でした。その世界で好きなことをひたすらやっていましたね。

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最後に学生にメッセージをいただきたいです

高校生は、もっと自分を信じて自分に誇りを持って欲しいですね。自分の良さを発見し、可能性を信じて欲しいのです。努力すれば必ず成果が出ます。涙が出ることは感動です。高校生には感動をつくりだして欲しいのです。そのためにも努力が必要です。涙がでるほど、感動が生まれるほど努力して欲しいです。そしてその感動をクラスメイトや部活の仲間と共有してください。 それが一生の思い出になります。自分を成長させます。

大学生は、一つの事を極めることです。多くのことをするよりも趣味でも専門分野でも何でもいいので極めてほしい。それが将来、社会に出てからの力なります。中途半端はよくありません。時間を有効活用し、研究したり表現したり、仲間と教え合ったり、語り合ったりしながら一つのことを極めて欲しいです。そして社会に貢献できる人になって欲しい。

石塚先生は、様々な活動をされておりアクティブさと優しい人柄を併せ持った先生で、1人ひとりの個性と良さを大事にするという先生の教育観が印象的でした。

 

【編集者:北海道情報大学 長田和真】

Data

石塚 耕一 (いしづか こういち)先生

北海道教育大学卒。1955年生。 北海道足寄町出身。
北海道教育大学卒業後に高等学校教員、教頭、校長を歴任する。
北海道おといねっぷ美術工芸高等学校の校長時代の実践を綴った「奇跡の学校 おといねっぷの森から」を2010年に出版。
2013年より東海大学教授を務める。
【著書:『奇跡の学校―おといねっぷの森から』】


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